産休・育休制度で仕事と子育ての両立を目指すには

はじめに・・・
少し前までは、女性の妊娠・出産=同時に会社を退社することが大多数でした。ですが最近は、女性の妊娠・出産=社会復帰をして働くママがたくさんいます。そんな時代だからこそ、いざ自分が利用することになった時のために、知っておいた方が良い産休・育休制度についてご紹介していきます。
1. 産休・育休の期間について
産休・育休って言葉は知ってるけど、「そもそもどんな仕組みなのか分からない」という人も多いと思います。これから妊娠・出産を控えている人、制度を利用したいけど、どうしたら良いか分からないという方に、産休・育休の仕組みを説明致します。
1-1.産休とは
産前産後休暇のこと。雇用形態に関係なく、どなたでも取得できます。
・産前休暇=出産前の準備をする期間の6週間
※出産当日は産前休暇に含まれます。
・産後休暇=出産日の翌日から始まる、産後の体調回復をする為の期間の8週間
この産前産後休暇2つを合わせて、原則14週間を産休といいます。
※双子以上の場合は、産前休暇は出産予定日の14週間前からとなります。
※産休を取るための手続きは会社によって異なるので確認しましょう!
また、出産日が予定日より、早まった場合や遅くなったりした場合は、
休暇期間の長さが変わります。
◆早まった場合:早まった日数分が産前休暇の6週間から引かれる=短くなる
◆遅れた場合:遅れた日数分が産前休暇の6週分に加算される=長くなる
1-2.育休とは
1年間の育児休暇のこと。産休と違い、取得するには「1年以上の就労期間」などの取得条件があるので事前に確認しておきましょう。
1歳に満たない子供を育児する方は会社に申し出ることにより、子供が1歳になるまでの期間で育児休業を取得できます。
2017年10月からは、1歳6ヶ月時点でも「保育園が見つからない」などの理由の場合は、2歳まで育休の延長が可能になりました。
1-3.主な取得条件
◆正社員:現在の会社での雇用が1年以上経過していること
子供の1歳の誕生日まで退職する予定がない
◆契約/派遣社員:育休の申し出を出した日から直前1年間、現在の会社との雇用関係にあること子供の1歳の誕生日まで、契約が続く見込みがあること
※扶養内パートで働いてる場合でも、2つ目の条件に当てはまっていれば育児休暇の取得は可能です。
※取得対象外
・雇用された期間が1年未満
・1年以内に雇用関係が終了する事が明らかな場合
・週の所定労働日数が2日以下
・その他、日々雇用の方
ここまでは、産休・育休の休暇期間についての説明をしてきました。しかし次に気になるのは、やはりお金のことですよね。次は休暇期間に支給される手当についてご紹介します。
2.産休・育休中の手当について
産休・育休中は、会社には給料の支払の義務がありません。しかし、手当として給料の5~7割を受け取る事ができます。産休・育休は労働基準法で定められた権利ですが、実際に働いているわけではなく、あくまで出産の為の産休中、育児の為の育休中の生活保障として健康保険や雇用保険から支払われるのです。その他に、出産にまつわる手当なども支給されます。
2-1.手当の主な種類
・産休中に支給される「出産手当金」
・出産に対して支給される「出産育児一時金」
・育休中に支給される「育児休業給付金」
2-2.出産手当金とは
出産に伴う休業を補助する為に、加入している健康保険から支給される手当。
◆支給対象:健康保険に加入している女性
※健康保険に1年以上継続して加入している人が産休中に退職した場合も対象となります。
◆支給対象外:加入している健康保険が国民健康保険の場合
産休中に会社から給料が2/3以上支払われてる場合
<支給額の計算方法>
1日あたりの手当=標準報酬月額×1/30×2/3
出産手当金合計額=1日あたりの手当×休んだ日数
※計算は概算。詳細な金額は会社の担当者又は、会社専属の社会保険労務士などが算出。
例)標準報酬月額20万円の場合
<申請方法>
産休に入る前に所属する会社の健康保険担当部署または会社を管轄する社会保険事務所で申請用紙をもらう。出産後、医師か助産師が、出産手当金支給請求書を記入。産後56日以降会社の担当部署、または社会保険事務所に提出します。そして、申請後1~4ヶ月後に手当を受け取ることができます。
2-3.出産育児一時金とは
健康保険または国民健康保険に加入していて妊娠4ヶ月以上で出産した場合に対して支給される手当。
<支給額>
被保険者及びその被扶養者が出産したときに、1児につき42万円。
※双子以上の場合は胎児数分の金額が支給される。
<申請方法>
・直接支払い制度:健康保険へ申請するとともに、分娩予約をした産院にも健康保険証を提示。必要書類にサインします。
・受取代理制度:出産予定日前の2ヶ月以内に受取代理申請書を健康保険に提出します。
<支払方法>
出産方法によって、支給額を超える場合は、差額だけを病院または産院に支払います。支給額よりも費用がかからなかった場合も1~2ヵ月後に差額分を受け取れます。
2-4.育児休業給付金とは
育休中に給料が支給されない場合の助けとなるように、雇用保険が支給する手当。
※支給対象者:・雇用保険に加入している
・育休前の2年間のうち、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月ある
・育児休業期間中に勤務先から8割以上の御給料をもらっていない事
・休業日数が月に20日以上ある事
※支給対象外:・育休中でも会社から給料を8割以上もらっている場合
・派遣社員で雇用保険の加入期間が1年未満の場合
・育休対象期間中、育休日数が毎月20日以上ない場合
<申請方法>
・勤務先が書類の用意から手続きまで行う
・勤務先が書類の用意だけ行い、手続きは本人が行う
<受け取る時期>申請後1~3ヶ月後くらい※その後は2ヶ月ごとに振り込まれます。
<支給内容>
・育休開始から180日目まで(180日目も含む)は、休業開始時の賃金の67%。
・育休開始181日目~子供の1歳の誕生日までは休業前の賃金の50%の給付の支給。
※育休延長が認められた場合、この育児休業給付金も同様に子供が最長2歳になるまで延長が可能になります。
※父親が育休を取る場合も支給対象になります。
3.産休・育休中の社会保険の免除について
会社が年金事務所または保険組合に申し出ることで、休業期間中の社会保険料が被保険者(本人)負担分及び事業主負担分ともに免除されます。
※住民税は免除の対象ではないので気をつけましょう。
さて、ここまで手当ての種類や申請方法などをご紹介してきましたが、ワーキング
マザーの方たちの雇用形態は様々です。中には正社員しか取得できないのかと思い
の人もいるかもしれません。ここで産休・育休が取得できる人の条件を再確認します。
4.産休・育休の取得条件について
正社員でなくても、産休・育休は取得できます。
契約社員・派遣社員・パート社員など非正規社員でも条件を満たしていることが条件。
<確認ポイント>
・休暇に入る前と同じ事業主に、1年以上雇用される事が分かっている事
・子供の1歳の誕生日(育休明け)も雇用される見込みがある事
上記の条件を満たしていれば、たとえ正社員でなくても産休・育休は取得できます。
5.最後に
今回は産休・育休についてご紹介してきましたが、産休・育休中は出産費用や育児に関するグッズなど揃える為、何かとお金が必要になりますよね。世帯収入も変わるので、その分貯蓄が減り、生活費を工夫してやりくりするのも大変です。
近年、支給額の増額や社会保険の免除など年々制度が変わってきています。
自治体によって受けられる制度もありますので、お住まいの地域の制度をよく確認し、今後の生活に備えて、個人がしっかりと把握しておくことが大切ですね。
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